2016年夏、沖縄・石垣。
国内最大のサンゴ礁で、サンゴの「大規模白化」が起きた。実に97%が“白化”、その7割が“死滅”した。
研究者は「回復力が追いつかない時代に入った。間に合わない」と危機感を募らせる。国の緊急対策会議でも「50年後の2070年には日本近海からサンゴが消滅する」との初の予測が示された。
サンゴの回復を人が手助けする時代。沖縄の海を舞台に、プロの技術者たちが“サンゴ再生”に挑戦する姿を追う。
ということで放送していました。とても細かく取材して時間をかけて作られ、久しぶりにいい番組を見たと思いました。
自分は2005年に石垣島に移住し、最初の1,2年は夢中になってダイビングやシュノーケリングできれいなサンゴの海を満喫したものです。しかし、2007年の大規模白化から石垣の海の魅力が薄れ、足を運ぶ数が減りました。
ただ、私は小さな生物(マクロ)が好きで、サンゴの発達具合とあまりサンゴに依存していない魚、ウミウシやエビ、カニの撮影ができるのでそれはそれで満足しています。
2016年、大規模な白化現象がまた起き、原因は台風の襲来が少なかったと番組は言っていましたが、台風来ました。ただ、台風が来て水温をかき混ぜても南から来る海水温も高いので同じ温度でかき混ぜても水温が変わらなかったようです。
今後もこのような現象がひんぱんにおきる可能性があると研究者は行っていましたが、その通りだと思います。
番組の中で解決策は、
- 動物園、水族館と同じように、種を人間管理下で保存し、親サンゴから子どもを育てられる技術を確立する
- 高い海水温に強いサンゴの子孫を作る
- 再生に多くの人が楽しんで取り組めるような施策をする
みたいな内容でした。
さて、15年ぶりくらいに石垣以外の海で潜ってきました。ほぼ赤道直下のインドネシアの海です。
ここでは、白化現象はなく、場所によっては実に生き生きとしたサンゴが見られました。生物も多様性に満ちています。ということは水温は低いのではと思いがちですが、10月下旬にもかかわらず、29度と30度の間で石垣と変わりません。そしてこの地域は赤道が近いので台風は発生せず、海水がかき混ぜられることもありません。
なぜ白化しないのか?
近くに高い山があり、山の栄養が海に流れ込んでいるからではないでしょうか。
この海域には陸地の土が海に垂れ流しとはなっていませんでした。ただ、モラルが低い国民性なのかビニール袋などのゴミが大量に海に流れており、それはそれで問題です。ちなみにこちらの土は「黒」。地質はぜんぜん違うのでしょう。
石垣も私が移住する以前から赤土の問題が指摘されていますが、いっこうに対策はすすまず、大雨のたびに海は茶色に。
子どものサンゴをいくら作ったってこの海に対する影響力は、例えば100のうちの0.000000000001とか完全に誤差の範囲。赤土が海に与える影響は80とか90とかめっちゃ可能性が高いはずなんです。
赤土に対する協議会のようなもので会議は開いているようですが、機能していないようです。もっとそちらにお金と人をつぎこんだほうがよほど有効的だと思うんですよね。
赤土はオニヒトデの発生と関連があるという話も聞いたことがあります。オニヒトデもサンゴを食い尽くしますし、とにかく赤土の流れをとめずして、一所懸命サンゴの研究をしてもぜんぜん意味がないと思うんです。
サトウキビ畑は、斜めの土地にそのまま畑つくっちゃったから、いつまでも赤土が垂れ流しになる。水平ならば、雨はその土地にしみこんでいくんでよほどの大雨であふれない限り影響は少なくなる。
石垣の製糖工場が老朽化して建て替えを検討しているという話も聞いていますが、建て替えている間にサトウキビ畑を抜本的に土地改良し、畑の土地を全部水平にしちゃえばいいんですよ。もちろん簡単ではないし、お金もかかりますが。
ついでにパイナップル畑も影響が大きいらしいので水平にしましょう。
国が思い切って予算投入してくれないもんですかね〜
赤土対策ができてはじめて、サンゴ自体の研究が意味をなしてくると思うんですよね。
インドネシアの豊な海を見て、石垣の海はかなり絶望的だと感じました。今後もマクロな生物を求めて石垣の海でも潜りますが、生物の多様性を求めて、飛行機を乗り継ぎ30時間かけてインドネシアまで潜りに行くことになるでしょう。
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